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3広報ところざわ平成28年10月号 小野家住宅の周辺では、江戸時代に重じゅう殿どの権ごん現げんと呼ばれていた鎮守・林神社や、江戸や川越、新しん河が岸し川の河か岸し場ばへ続く道標など、江戸時代の新田村落の面影をたどる散歩が楽しめます。 現在では住宅地が広がる場所ですが、昔の風景を想像しながら、現代につながる江戸の気配を味わってみてはいかがでしょうか。 町場の人々の「非日常」の楽しみである山車祭りとは対照的に、農家の「日常」のひとこまを伝える文化財が、小野家住宅です。に国の重要文化財に指定されました。簡素なたたずまいは、多くを持たずに入植した開拓農家の住まいならではです。 上山口の山口観音(金こん乗じょう院いん)は、開創が奈良時代ともいわれる、市内有数の古寺です。江戸の人々にとって、霊場は祈りの地であると同時に、観光地でもありました。 この「裏観音」や、本堂の庇ひさしに掛けられた「朝鮮式銅鐘」など、山口観音の豊富な寺宝は、江戸時代に護ご国こく寺じや本ほん所じょ回え向こう院いんで行われた出で開かい帳ちょう(出張公開)で公開されました。これを見聞きした江戸の人々が山口の地に憧れ、「山口詣もうで」が盛んになったのです。 江戸の人々の祈りも聞いた、山口観音の本尊、秘仏千手観音。来年、御開帳の年を迎えます。 市は、身近な景観や昔から伝わる文化などを「ふるさと」の財産として発掘し、活用していこうとする取り組みを進めています。 文化財も、一つ一つの価値や輝きだけでなく、複数の文化財が集まって地域の歴史的魅力を形づくるような活用が期待されています。今回ご紹介した「江戸」はその一部です。 現在、市内にある国・県・市指定の文化財と登録文化財は、112点を数えます。所沢の新しい魅力を再発見し発信する文化財。これからもご注目ください。江戸時代のパイオニア精神〜開拓者の息吹を訪ねる〜其の弐そ に江戸の民、所澤で祈る〜信仰が生んだ文化財〜其の参そ さん 板の間のいろり、広い土間、自然のままの曲がった材を使った柱や梁はりなど、開拓農家の面影にじっくり浸ることができます。日 毎週日曜日午前9時〜午後4時場 林2‐426‐1(ところバス西路線「林」下車徒歩7分)◎駐車場はありません。▲徳川御三家の一つ、尾張藩の鷹狩りの場を示した「鷹たか場ばの石」(昭和40年代撮影)。 今年のところざわまつりでは見ることができない二代原 舟月作の山車人形「関羽・周倉」は、修復後初のお披露目。来春の本尊開帳を控えた山口観音ゆかりの文化財など、貴重な指定文化財が一堂に会します! 所有者の協力で実現する、「生」の文化財の魅力に触れる特別な13日間。文化財が紡ぐ 物語に会いに。来年2月!小野家住宅は、武蔵野の開拓農家の暮らしを伝える建物として、昭和50年 江戸時代は、原野の開発が盛んに行われました。小野家住宅がある三ケ島地区の旧林はやし村むら(おおよそ現在の林一丁目〜三丁目)は、富岡地区の三富新田よりも古い江戸時代前期の1600年代後半に開発された新田です。台地上の立地とはいえ、狭山丘陵を水源とする不老川や林川などの細い川が流れていて、比較的水の便が良かったため、早い時期から開発が行われたと考えられます。江戸時代後期、生活に余裕ができた人々の間で、霊場参詣の旅が盛んになります。信仰の旅とはいえ、目的の半分は娯楽。遠くてなかなか行くことができない伊勢や熊野などの代わりに、近郊の寺社に参詣者の人気が集まるようになりました。 山口観音では、秘仏とされる本尊の代わりに、普段は「裏観音」と呼ばれる別の千せん手じゅ観かん音のん像ぞうが本堂裏に安置され、人々の願いを受け入れてきました。 山口観音の本尊・千手観音を間近で拝観できる、33年に一度のチャンス! 平成29年春、厨ず子しの扉が3日間限定で開かれます。日 29年4月29日㈷〜5月1日㈪◎法要中などは拝観できません。場 上山口22 03(西武球場前駅から徒歩5分)▲山口観音「石川文松筆 六歌仙図大絵馬」江戸の人々の心を奪った寺宝も間近に!日平成29年2月14日㈫~26日㈰午前9時~午後5時場生涯学習推進センター(並木)◎詳細は「翔びたつひろば」2月号でご案内します。▲普段は木造の千手観音「裏観音」を拝観できます。
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