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5広報ところざわ令和4年1月号所沢市は持続可能な開発目標(SDGs)に取り組みます。重松流はよく「ジャズのようだ」と言われます。これは、二つの小太鼓が異なる打法で掛け合いをするからだと思います。細かな譜面はなく、技術を口頭で伝える「口く伝でん」が中心で、演奏者がその場の雰囲気で即興的に変奏するのが重松流の醍だい醐ご味みと言っていいでしょう。重松流を多くの人に伝えたいという古ふる谷や重じゅう松まつの思いは、所沢市内に広く浸透し、「重松流祭囃子保存会」や各囃子連によって保存・伝承されています。支部ごとに工夫を凝らした山車や衣装の違いに注目してみるのも、重松流の楽しみ方の一つです。重松流に関わる人間にとって、ところざわまつりは年に一度の大舞台。山車の上で演奏することを目標に練習に励んできました。しかし、令和元年は台風接近のため中止に。続く二年間は新型コロナの影響でお祭りが中止になっただけでなく、練習すらできませんでした。この空白の二年間で、それまで練習に参加していた子どもたちのお囃子離れが進んだように感じます。感染状況が落ち着いてきて、ようやく各支部で練習を再開しつつありますが、二年間という月日は子どもにとって大きな成長の期間。それでも一緒に続けてくれる子もいて、ブランクを感じさせない太鼓の叩きっぷりは、頼もしく思います。どんなに困難であっても、先人たちから続く伝統をここで絶やすわけにはいきません。今年こそところざわまつりが開催されると信じて、練習に精を出していきたいと思います。明治7年に古谷重松が入間市の久く保ぼ稲いな荷り神社に奉納した絵馬に描かれている榊さかきには、重松流が伝えられた村名が書かれた短冊が下がっています。中には既に重松流が途絶えてしまった地域もあります。そのような地域で重松流をもう一度復興させることや、まだ重松流が広がっていない地域に重松流を浸透させていくことが私の願いです。そのためには、後継者の問題などさまざまな壁があります。まずはところざわまつりが再開され、皆さんにお囃子を見て、聞いて、感じてほしい。「これぞお祭りだ!」と、心の底から奮い立つものがあるはずです。そして少しでも興味を持ってもらえたら、一緒に重松流を後世に伝えていきましょう。▲太鼓に見立てた木材を叩く星の宮支部の皆さん。これぞ重松流といえる、テンポの良いリズムが響きます▲次代を担う星の宮支部の子どもたち。お母さんのお腹の中にいたころからお囃子を聞いていた子も

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